#author("2018-12-10T11:00:24+09:00","","")
*インフレ [#bc336109]

[[エキスパンション]]が進むにつれ、新しく出る[[カード]]の[[スペック]]が徐々に高くなっていくこと、もしくはそうしたカードが増えていく[[環境]]のことをいう。

つまりは[[コスト]]に対して[[能力]]が強力になり、[[クリーチャー]]の場合は[[パワー]]も大きくなっていくことを指す。
経済用語「インフレーション(inflation)」の略であり、本来の意味は「物価が持続的に上昇すること」である。

クリーチャーの場合、[[パワー]]が大きくなると言っても、[[《無頼勇騎ゴンタ》]]の様な「2[[コスト]]で[[バニラ]]の[[パワー]]4000の[[クリーチャー]]」となる場合は、普通インフレとは言わない。

一般にインフレとは、[[《不滅の精霊パーフェクト・ギャラクシー》]]の様な「[[コスト]]7で[[シールド・フォース]]付き[[パワー]]9000」の場合を指す。

普通、[[シールド・フォース]]の[[能力]]は本来得るはずだった[[パワー]]から、マイナス1000以上されるという計算だが、このクリーチャーではそれが適用されていない。この場合では、コスト7なので[[パワー]]9000、かつ[[光]]なので[[バニラ]]ならば9500となり、[[シールド・フォース]]で500しか消費していない事になる。

つまり、[[バニラ]]並みの[[パワー]]を維持しながら強力な[[能力]]を得ているということで、かなり高いスペックとなっている。こういった現象が多くのカードで見受けられる場合に、インフレと言われる。

基本的に[[クリーチャー]]は、[[パワー]]の高さよりも[[能力]]の強さが求められているので、[[パワー]]だけが独り歩きしてインフレしていくことはない。たまに、[[《緑神龍ディルガベジーダ》]]や[[《界王類七動目 ジュランネル》]]のようにコストに反して、逸脱した高いパワーを持つ者もいるが、[[《緑神龍ディルガベジーダ》]]の場合は強力な[[能力]]を持たない分を[[パワー]]に回したり(一応[[Q・ブレイカー]]など持っている)、[[《界王類七動目 ジュランネル》]]は[[デメリット]][[能力]]がついていたりするので、やはり[[能力]]のインフレありきの[[パワー]]の高さと言える。

派手で[[オーバーキル]]な[[カード]]を引き合いに出してインフレを説明することがあるが、それは適切ではない。例えば、[[《グラディアン・レッド・ドラゴン》]]の[[パワー]]が高いのはインフレによるものではない。10[[コスト]]と非常に[[重く>重い]]、[[T・ブレイカー]]以外の[[能力]]を持たないためにこの[[パワー]]設定なのである。[[カードパワー]]の判定には、[[コストパフォーマンス]]に着目するべきである。

初期の頃は、何かしらの[[能力]]を持った[[クリーチャー]]は、[[コスト]]に対して[[パワー]]が低くなることがあったが、次第に[[コスト]]に見合った[[パワー]]を維持、もしくはそれを上回る[[パワー]]を持った上で、強力な[[能力]]を持っていることが多くなった。そういう観点からみると、[[パワー]]の方がインフレしているとも言える。[[パワー]]を参照する[[《炎槍と水剣の裁》]]が[[プレミアム殿堂]]から4枚投入可能になったことからも、それが見て取れる。

インフレをしているのはクリーチャーだけでなく、呪文も同じである。呪文はパワーを持たないので、なおさら能力の強さを引き合いに出してインフレを語られる。

他のカードタイプでは、インフレはほとんど見られない。これはクリーチャーや呪文と違って、これらは短期間しか登場しないためである。

また、インフレの一種として「[[高速化]]」ということばがある。これは、早い段階から大型クリーチャーが展開できるようになったり、[[ダイレクトアタック]]の速度が早まったりする現象のことを言う。後述する[[革命編]]以降からこの現象は目立つようになる。

**環境におけるインフレ [#g2dab437]

-最初に[[インフレ]]が加速し始めたのは、[[聖拳編]]から。新たに登場した[[多色]]カードは、これまでの単色カードよりも[[カードパワー]]が高いことが多く、多くのプレイヤーがその[[性能]]の高さに注目し、[[聖拳編]]は[[インフレ]]の第一歩となるとともに、[[デュエル・マスターズ]]の人気の上昇にも繋がった。しかし、当時にしてはオーバースペック気味のカードもそこそこ目立ち(なかには[[《無双竜機ボルバルザーク》]]や[[《英知と追撃の宝剣》]]など、今でもオーバースペックなカードもある)、批判の声も少なくはなかった。

-[[戦国編]]では、[[《メタルカオス・ドラゴン》]]の性能を大きく上回る[[《ボルバルザーク・紫電・ドラゴン》]]や、[[《魔弾オープン・ブレイン》]]や[[《魔弾バレット・バイス》]]を抱える[[ナイト]]などが登場し、[[単色]]カードにも[[インフレ]]が目立つようになる。

-[[覚醒編]]で[[サイキック・クリーチャー]]が出現してからは一層激しいインフレに見舞われた。既存の[[コスト論]]を大幅に逸脱した[[サイキック・クリーチャー]]は[[環境]]を激変させ、後のカードデザインにも影響を与えることとなった。

-[[覚醒編]]で登場した[[《爆竜 GENJI・XX》]]もインフレを象徴するカードの代表格として語られる。通常、6コスト[[クリーチャー]]は[[パワー]]7000の[[W・ブレイカー]]が基準となるが、この[[クリーチャー]]はその[[パワー]]を維持したまま[[スピードアタッカー]]と[[ブロッカー]][[破壊]]の[[アタックトリガー]]を持っている。これは、覚醒編以前の[[コスト論]]で考えると[[パワー]]が4000程度オーバーしていることになり、この[[クリーチャー]]は凄まじいスペックの持ち主ということになる。

-[[ドラゴン・サーガ]]終盤あたりからは、[[進化クリーチャー]]のインフレも目立つようになる。[[能力]]の強さや[[パワー]]の高さはもちろんのこと、これまで進化元の指定は、[[マナ進化]]や[[墓地進化]]を除けば「[[種族]]」が大半だったのに対し、ここからは「[[文明]]」指定が主流になる。(場合によっては、種族指定の方が使いやすいものもあるが、基本的には文明指定の方が進化条件が緩い)

-[[革命編]]からは、[[進化クリーチャー]]のインフレが本格化すると共に、環境の「[[高速化]]」が激化することになる。自力で[[コスト踏み倒し]]ができる[[侵略]]能力を持った[[進化クリーチャー]]は、その進化クリーチャーらしからぬ出しやすさとから、[[環境]]で一気に大注目を浴びるようになる。特に、[[《轟く侵略 レッドゾーン》]]は、[[パワー]]と[[能力]]が強い上に、侵略元の[[スピードアタッカー]]に恵まれていることもあって、[[革命編]]以降の「高速環境」の先駆者としてその名が挙がる。

-[[革命ファイナル]]では、再び多色カードがプッシュされ、[[革命チェンジ]]といった新たな[[コスト踏み倒し]]手段が登場。[[《蒼き団長 ドギラゴン剣》]]は、[[革命チェンジ]]によって3〜4ターン目に登場し、[[ファイナル革命]]によって多色クリーチャーを並べて一気にゲームエンドに持ち込むといった、従来の環境では考えられない素早い展開力を見せつけた。[[《時の法皇 ミラダンテⅫ》]]はコントロールデッキに入るカードでありながら、その早期によるロックの強さから、[[中速]]気味の速さで[[ダイレクトアタック]]に持ち込めるようになった。《ミラダンテⅫ》の登場のせいか、その以降の環境では、[[コントロール]]系の[[デッキタイプ]]においても、最初から長期戦に持ち込む事を前提としたものはめっきり少なくなり「[[1ショットキル]]を防いでからのカウンター」や「[[無限ループ]]からの[[ライブラリアウト]]・[[エクストラウィン]]」といった、盤面を『整えさせない』事に重きを置き、早期決着を志向したものが多くなっていった。1ターンで即死打点を形成され敗北してしまう事が現実的になったからである。

-[[新章デュエル・マスターズ]]〜[[双極篇]]では、[[革命編]]から続く[[高速化]]がさらに進み、最速で2ターンでのゲームエンドと言うかつての[[環境]]からは考えられないような展開も珍しくなくなった。[[コスト踏み倒し]]によって登場する大型クリーチャーもさらに増え、その能力も日増しに強力になっている。こうした状況に対して、[[《異端流し オニカマス》]]、[[《デスマッチ・ビートル》]]、[[《洗脳センノー》]]といった軽量でありながら強力な[[コスト踏み倒し]][[メタ]]を持った[[クリーチャー]]が数多く登場するようになった。

**その他 [#g2dab437]

-[[デュエル・マスターズ]]では[[多色]]を推進するシリーズでインフレが起こりやすいとされている。[[聖拳編]]と[[極神編]]では多くの強力な[[多色]][[カード]]を登場し、幅広い[[デッキ]]で使用された。

-通常トレーディングカードゲームは[[エキスパンション]]が進むにつれてインフレも進む。[[カード]]の性能がどんどん上がっていくのは、新しいパックを購入する意義を与えるためである。既存の[[カード]]と同じかそれを下回る[[スペック]]の[[カード]]を、わざわざ買ってまで使おうとは思わないだろう。ゆえにインフレが起こるのは仕方のないことである。[[完全上位互換]]とされる[[カード]]の出現はそれを示唆していると言える。

-インフレによって古い[[カード]]の利用価値が下がる現象は、[[デュエル・マスターズ]]に限らず多くのトレーディングカードゲームで見られる光景である。古参[[プレイヤー]]には少々酷だが、時には新しい[[カード]]の進歩に着目するのもいいだろう。

-しかし過度なインフレの進行は、[[プレイヤー]]に絶え間ない[[カード]]の買い替えを要求することになる。こうなると、販売店にも[[プレイヤー]]にとっても不利益を招くので、カードデザインには細心の注意を払ってほしいものである。

-コストが高いカードほどインフレが目立つ傾向にある。クリーチャーの場合、[[ファッティ]]クラスになるとパワーと能力の両方が揃って凄まじい[[インフレ]]を起こしている。逆にコストが低いカードはあまりインフレは起きていない。逆に、コスト1の[[《凶戦士ブレイズ・クロー》]][[《予言者クルト》]]などは、[[インフレ]]の影響を受けず、登場以降、未だに[[上位互換]]が出ず、高く評価され続けている。

-インフレによって、昔はかなり強かったのに今は見る影もないなんていう[[カード]]はザラにある。過去に一度デュエマを辞めて、再び戻ってきたときにそれに驚愕するプレイヤーもザラにいる。2015年から[[《ボルメテウス・サファイア・ドラゴン》]]を筆頭に[[プレミアム殿堂]]、[[殿堂入り]]したカードの制限が解除されていったが、これらも大半がインフレによるものである。

**参考 [#g2dab437]
-[[用語集]]
-[[完全上位互換]]
-[[パワー]]
-[[サイキック・クリーチャー]]
-[[コスト論]]
-[[聖拳編]]
-[[戦国編]]
-[[覚醒編]]
-[[エピソード1]]
-[[エピソード2]]
-[[革命編]]
-[[革命ファイナル]]
-[[高速化]]
-[[《不滅の精霊パーフェクト・ギャラクシー》]]
-[[《グラディアン・レッド・ドラゴン》]]
-[[《爆竜 GENJI・XX》]]
-[[ゼニス]]
-[[《轟く侵略 レッドゾーン》]]
-[[《蒼き団長 ドギラゴン剣》]]